何のためのモデルハウス?

「ハウスメーカーのモデルハウスは,客を契約させるためのトラップです.ですから,本気で家の購入を考えておられる方は,モデルハウスに行く必要はありません.」

聞いた話ですが,こんな記事が住宅雑誌か何かに書いてあったそうです.うーん,正直ちょっとそれはひどいと思いました.まあ,当たっている面もあるかもしれませんが,そう言ってしまうと何の進歩性もないというか...

住宅メーカーが住宅展示場などにお金をかけて作っているモデルハウス.あのモデルハウスを多くの人はどんな視点で見ているのでしょう.私は,このブログでも時より書いているように,日本における様々な商品の質は諸外国に比べて低いと思っているのですが,住宅メーカーが本気で作っているモデルハウスに関しては,けっこう素晴らしいと思うこと多いです.いや,モデルハウスは売るための商品ではないですけどね...笑

モデルハウスを素晴らしいと感じるのは,広いとか,高級な素材やインテリアアイテムを使用していて豪華だからという理由では決してありません.ちゃんとコンセプトがあって,住まう人の暮らしが見える家になっている点が素晴らしいと感じます.例えば,リビングと屋外が一体となるような開放的な空間が生まれていたり,借景へのこだわりだったり,動線を含め使う人の感覚をちゃんと考えて設計がなされている間取りが存在していると思います.

確かに,モデルハウスはたいてい豪華です.その豪華さだけをとれば,確かにお金をかけなければ手に入らないかもしれません.「ふざけるな」と言いたくなるようなものも存在します.汗 しかし一方,考え抜かれたアイデアというものは,自分が家を建てるときに充分に応用できると思います.そういう新しいアイデアを発見するためにはモデルハウスは最高の場所だと思います.

日本の住宅は悲しいことに,非常に悲惨です.コピーアンドペーストのような間取りに溢れ,生活者の暮らしを真剣に考え相談に乗ってくれるメーカーは数えるほどです.しかし,気合の入ったモデルハウスを見ると,本気になればやれるんだということが逆に分かって,ちょっと安心します.

モデルハウスでアイデアを盗み,家を建てる時にわがままを言う.そして,住宅メーカーが出し惜しみしている本物のプランを引き出しましょう.見た目の美しさや豪華さにばかり気をとられた末に契約のはんこを押してしまうことだけは避けなければなりません.

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天井について想う

最近,天井って何だろうか,なんて考えています.また変なことを考えはじめてしまった...笑

天井のデザイン.天井が暮らしに果たす役割.天井が持つ可能性っていったい???屋内であれば,必ず天井という場所があるでしょう.どうも日本では天井という場所が軽視されているような気がするんですね.いや,相対的な話ではあります.つまり,床材や壁や,一般にインテリアと称されるものと比べて軽視されている,という感じを受けます.天井もインテリアなのですがね...一度気になりだした私は,どうも納得いかなくなってきました.どこに行っても天井を見てしまう自分がいます.

例えば,ヨーロッパあたりを旅行すると,やはり日本と違うなぁと思うのは...そう,天井です.(ちょっと強引...笑)思うに,調和がとれているんですよね.部屋や店舗のインテリアの方向性に沿って,天井もデザインされているという気がします.しかし日本の住宅や店舗は,天井だけは別って感じ.ライティングには凝っていたりしても,天井はたいていコンセプト不在で素っ気無いですね.天井はやはり検討するべき仲間に入れてもらえていないような気がします.

天井はあくまで天井,たいして見ないし触らない場所に凝っても意味ない,そういう意見もあるでしょう.しかし,外を歩いていて,空の色が青いか曇りかって人の精神に何かし影響を与えていると思います.ずっと青空を見ては歩かなくても,でも視野の周辺部には青い空が存在しているはずです.同じように,日本の住宅(いわゆる日本家屋は除きます),アパートやマンションに住む人は,延々と何の変化もない,たいていは白い天井を視野の周辺に入れていることでしょう.ちょっと寂しくはないでしょうか.こういう(天井なんて別にどうでもいいという)切捨ての感覚も,現代日本の住宅の貧しさではないかと思っています.

さて,どこに行っても天井ばかり見てしまう私.そんな私を最近唸らせてくれた天井を紹介します.




ボーイング737-400の機内(日本トランスオーシャン航空の機材)です.クール!日本の旅客機史上,最高にクールな天井だと思いました.ライティングも彫刻的な天井を美しく見せているし,荷物を収納する棚もそこに溶け込んでいます.シートのデザインや色と,天井のデザインが調和し,すっきりとしたインテリアを実現しています.




こちらは福岡天神地下街.私は博多で生まれ育ったのですが,昔は天井に興味がなかったので,見てなかったなぁ...汗 でもこんなに素敵な天井だったとは.この天井の模様は唐草文様.足元は南欧の街をモデルにした石畳.照明を極端に落としてあり薄暗いのが特徴で,この雰囲気は日本には非常に貴重な存在です.今年32歳の天神地下街が,全く古臭くなく今も個性を放ち続けるのは,ちゃんとしたコンセプトが存在して,天井を含めた全体の調和が存在しているからだと感じます.

これからも天井を見続けると思います.素敵な天井に出会ったらまた報告します.

 

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部屋の壁紙はなぜに白?

日本の住宅の貧しさについては,このブログでも時より書いていますが,今日は部屋の壁紙(クロス)の話しです.そう,なぜ日本の住宅の壁紙はほとんどが白なのか?? もしくは,日本人はなぜ白い壁紙を選びたがるのか?

例えば,新築の家を建てる,マンションを買う,もしくはすでに持っている家のリフォームをする,という時に,壁紙を選ぶことになるでしょう.家というある程度閉鎖された空間で,人は壁に囲まれて暮らしているわけです.嫌でも毎日目に入ってくるものが「壁」です.ですから壁紙にはもう少しこだわって,自分の好みの色やトーン,デザインのものを選んでもいいのではないかと思うわけです.実際に,分厚い壁紙のサンプル冊子を見たことがある方はお分かりかと思いますが,白以外の壁紙もたくさん載っています.何も輸入クロスなんて高価なものではなくても,壁紙には充分にバリエーションがあります.白い壁紙しか市場に存在しない,なんてことはありません.

日本においては壁紙が白であることは多少のメリットがあると思われているようですが,個人的には本当にメリットなのか疑問です.まず「壁紙が白だと部屋が広く見えるんだ」という話し.残念ながらあまりそうは感じません.部屋を広く見せるための技術はむしろ他に様々あります.次に「白が無難な色だ」という話し.無難である根拠が分かりません.白という色は,部屋に置かれている家具や電気製品の形や色を浮き立たせる色であり,むしろ無難な色ではありません.白い壁紙が一番安い傾向があるというのも事実ですが,これも説得力に欠けますね.だって,あまりに白ばかりでしょう.勝手な推測ですが,たぶん日本の住宅の全壁の95%以上は白じゃないですかね.いやもっとかもしれません.ちょっと安いだけでこんな状況になるでしょうか...

部屋の壁紙が白であることは,積極的に白が好きで,そういうインテリアにしたいというコンセプトがある場合を除いては,全くナンセンスです.むしろ害が多いので難しい色かもしれません.先ほども触れたように,白という色はそこに置く家具やテレビなど電気製品の造形や色を浮き立たせるため,何も考えずに適当な買い物ばかりをしていると,とんでもなく貧しさが強調されたインテリアになります.しかも,白は汚れや傷にも敏感ですよね.タバコを吸われる方なら,壁紙の変色も考えなければなりません.また,充分に考えられたライティングを行わないと,つまり部屋の中央にシーリングライトひとつだけなどというケースでは,部屋の中央から離れた壁は「光量不足」に陥り,なんとなく薄暗い壁が出現します.白という色は光を多く反射するので,光の量に非常に敏感なのです.つまり光量不足という状態に敏感に反応し,皮肉にも冴えないインテリアの演出に一役買ってしまいます.これは絶対的な(数値化した)明度の話ではありません.例えば初めからダークブラウンの壁なら,「薄暗い」ではなく「落ち着いた」雰囲気になるでしょう.

ところで,自分で購入する家なら,まだ選択肢はあります.市場にちゃんと様々な壁紙が溢れていますから,決断さえできれば,どんな壁紙だって買うことはできます.しかし,選べない場合というのがありますね.そう,賃貸アパートや会社の寮,公務員宿舎のような住宅です.ここには,まさに日本の住宅の貧しさが凝縮されているといっても過言ではありません.壁紙が白であることは当然ですが,間取りなどの空間設計,また断熱性などの環境性能にいたるまで,すべてに手が抜かれているのがこれらの家です.で,こういう家に住み,知らず知らずのうちに家というのはこういうものだ,と慣らされていくのだと思います.そして,いざ自分で家を買おうとするとき,壁紙は白でOKとなってしまうのではないかと思うのです.

ということで,家の壁紙を白にする必要性(必然性)は全くありません.好きなように住む人の空間に仕立てていけばいいのです.部屋の面ごとに違う壁紙を使うというのもありでしょう.

日本はすでに物質的にとても豊かですが,むしろこれからは資源の枯渇や温暖化が叫ばれる時代,物質的豊かさは後退させていかなくてはならないでしょう.しかし今の日本から物質的豊かさを取り除くと何も残らないのが現状です.無難な白の壁紙に張り替えるのではなく,好きな色とデザインの壁紙を選び,その選ぶ行為を心から楽しんで,そしてその壁紙に囲まれて長く住まう.こういう精神的豊かさに変化させていかなくてはいけないと思います.私は白い壁紙と蛍光灯の光が,日本人に目に見えないストレスを与えているように思えてなりません.

関連記事:詐欺社会の構図ー日本の住宅業界ー

 

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詐欺社会の構図(1)−日本の住宅業界−

自分の考えを持つ,何かを具体的にイメージするという作業は,日本人はすごく苦手ですね.しかし日本人は,自分たちのそういう部分につけこむビジネスを素晴らしく発達させてしまっています.今後こういう状況を「詐欺社会の構図」と題して記事にしていきたいと思います.

第一回の今日は,家の購入です.例えばマンションを購入しようとしたとします.まあ一般的には家が人生で一番高い買い物なので,本当に真剣に考えるべきもののはずです.マンションが欲しいと思ったら皆さんはどうされますか?まずはインターネットや新聞の折り込みチラシなどの広告を見て,「いいかも」と思う物件の情報収集でしょう.そして実際にモデルルームを見に行き,商談,そして最後に購入,とこういう順番でしょうか...だいたい多くの日本人がこんな感じ家探しをすることでしょう.

しかーし.この中にはとても大切な部分が抜け落ちているように思います.それは,情報収集を始めるその前の話し,そう,家を購入した後の「具体的な生活のイメージ」と,それに伴う具体的な設備,間取りなどに対する要望です.例えば「バスルームには窓が欲しい」とか「対面キッチンは動線が長くなり,使い勝手がよくないので嫌だ」とか「雨の日でも洗濯物を干せる場所がある家がいい(北国では冬はずっと室内ですからね)」とかそういう具合です.たいしたことではなくても,こういうひとつひとつは極めて大切な概念だと思います.

さて,もし具体的なイメージを持たずモデルルームに行くと,どうなるでしょう.そこからは「ナチュラルな詐欺」のオンパレードですよ.モデルルームは,一般に専門のインテリアコーディネータが仕上げた空間であり,かなり素敵です.実際の部屋にはそんなオプションなどついていません.しかし分かってはいても心惹かれます.とにかく漠然と好感を持ってしまいますね.次に営業の巧みな誘導.「返済プランだけでもお見積もりいたしましょう」などと言って席に座らされ,コーヒーやお菓子などが出てきて,アンケートを書かされて,がんじがらめにされていきます.こっちが初めから「見るだけ」のつもりならまだ断ることは可能ですが,少しでも購入を検討しているなら,この誘導から逃れる策はありません.ローンの返済計画の話しはかなりいい加減ですね.こっちがお金に詳しいかどうかで言葉を選んでいるのがよく分かります.そして最後の決め台詞は「迷っていたら決まらないですからね.家の購入も結局タイミングですよ〜」「急がないと,すぐに決まってしまいますよ〜」.

一方,家に届けられるマンションの広告の内容も悲惨なものです.以下は,私の家に最近入ったマンションの広告やビラに書かれている見出しの一部と私の感想です.笑

「モデルルーム先着10名様に1000円分の商品券プレゼント!」
  1000円の商品券で家の購入を促すようなことはやめてください.(^_^;)

「今,住まいが輝きの中心になる」
「まばゆさと心地よさの上質プライベートスタイル」
  輝きの中心?まばゆさ?上質プライベートスタイル??根拠が一切分かりません.
  言葉遊びはやめましょう.もしくは,意味と根拠を示してください.

「比べてください.この価格でこの仕様」
  仕様だけよくても意味がありません.
  しかも,そんなにお得なのかどうか全く分かりません.

「今の家賃と比べてください.自己資金なしでも月々76,401円の支払いでご購入いただけます」
  3年固定金利で一番安い2階の3LDK,
  後に高くなる可能性のある修繕費や管理費のこともちゃんと書いてください.
  詐欺ですよ.

このような宣伝文句が日本の住宅業界の貧しさを如実に物語っていると言っても過言ではありません.そして,これでうまいこと業界が回っているということは,粗品につられてモデルルームに出向き,購入につながることは現実にあるということです.しかし考えてもみてください.たくさんのお金を支払って購入するわけですよ.本当に暮らしやすい,豊かな空間にしたいともっと思うべきでしょう.そしてもっと具体的なイメージを持ち,それを実現できそうなマンションなり,住宅メーカーを探すべきです.皆がそういう姿勢を持ち始めると,メーカーももっと考えられた家作りをするようになると思います.

前にもちょっと書きましたが,市場経済において物の商品の質は消費者の質を反映しています.日本のマンションの間取りが,コピー&ペーストのように同じものばかりなのは,それで消費者がそれなりに満足しているという裏返しでもあります.おそらく日本人にとって家を買うことは,儀式です.自分の家を持ってはじめて一人前だと思っていたり,マイホームで暮らすことではなく,マイホームを手に入れること自体が目的になっているように感じます.儀式のための家購入なら,間取りなんて確かにどうだっていいわけです.しかし.ここではさらに由々しき問題を指摘しておきます.それは,メーカー側のそんな消費者を手玉にとる極めて利己的な体質です.露骨にとことんコストを下げようとしますし,中身は適当でも消費者にはばれなければオーケーだという精神を感じます.バスルームはほぼ例外なくプラスチック製の檻(私はユニットバスをこう名付けています)でしょう.壁は,大量消費することで低価格設定ができる白の壁紙が基本です.適当に間取りを作っているので,テレビを置く場所がないリビングになったり,ベッドを置くとクローゼットの扉と干渉する部屋ができたりします.未だにスケルトンインフィル*が標準になりません.日本の住宅業界は非常に寒々しい状態だと思います.

*構造体(骨組み)と内装設備などを独立に構築する工法.これにより,配管などのメンテナンスが容易になり,また大幅なリフォームにも対応できます.同一の構造体の中で,時代とともに様々な要求に合わせて住まいを再構築することが可能となるのです.欧米と違い日本の住宅寿命が極端に短いのは,この工法をとらないことも大きな要因だと言われています.

   

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収納はもういらない

収納は日本における悪の根源です....あ,ちょっと,通りすがりの方.「戻る」をクリックせずにちょっと読んでいってください.笑

日本の住宅で「収納」はやはり重要なキーワードです.しかしそもそも日本人にとっての「収納」とは何なのでしょうか.収納は多ければ多いほどいいと思っている方は今も多数だと思いますが,それはなぜそう思うのでしょうか.

もちろん,綺麗に整頓されて全く散らかっていない家というのは気持ちいいものです.しかし,例えば一人暮らしの男子大学生,ワンルーム住まいで,救いようのないほど足の踏み場もない状態の家も同じくらい心地よいものですよ.らくちんで.笑 私がむしろ嫌悪感を感じるのは,ホームセンターなどでとにかく安いカラーラックや棚やそんなものをどこに置くのかもよく考えずに買ってきて,そんでもって,やっぱりそれには収まり切らずに物があふれ出てしまい,本来ものを置く場所でないようなところに物が積み重ねてあったり,関連性のないものがごちゃ混ぜになって,関連性のない場所に押し込められているような家です.そして,紛れもなくそのような家に住む住人が1にも2にも「収納が足りない」「収納は大切」と言っているのです.

ちゃんと整頓されている家と,足の踏み場もない家を私が心地よいと感じるのにはちゃんと共通点があります.それはコンセプトがあるということです.限られた収納スペースでいつも整頓するには,不必要になるものは買わないだとか,少々高くてもコンパクトなものを買うとか,何かし能動的な思考があるわけです.また一方,後者の家は「結果的に」的な側面も否めないかもしれないですが,でもたぶんそこに住む人の欲求は思い通りに達成されているという点では成功しているんですね.例えば「どうせ座る場所は一カ所なんだからそれ以外の場所にすぐ使うものは置いておくんだ」という思考があるんだったら,まさにそのようになっているわけですから,一応コンセプト達成です.

しかし.たくさん収納があるのに整理できない家は,要するに住人は失敗しているわけですよ.片づけたいけど,ちゃんと計画的に考えられないので片づかない.そしてそれを収納がまだ足りないからだと思いこんでいる.これはとてもおかしなことです.なぜ片づかないのか,それを真剣に考えなくてはなりません.愛着もなくしかも絶対に使わない物なのに捨てられなかったり,計画的に買い物ができなかったり,ちゃんとカテゴリーごとに分類して整理しないから毎回押し入れから全部ものを引っ張り出す羽目になったり,などなど.

はっきり言いましょう.収納はおおむね足りています.あとは考えるか考えないかの違いです.職場の机の上の惨状は,おおむねその人の頭の中の状況だ,とは私の知人の言葉です.笑

で,車も同じで,日本の車は収納多すぎですね.小物入れとかも.日本はミニバンやワゴンが多い国ですが,まずあの広大な座席空間や荷台が有効に使われている様子はあまり見かけません.オデッセイを一人で通勤に使っている人多いでしょう?レガシーワゴンはたいていワゴンにそれほど荷物載ってないですね?そんな人に「なぜこの車なの?」と聞くと,「キャンプが好きだからねぇ」とかいう答えが返ってきますが,「キャンプにはよく行くんですか?」と聞くとたいてい「最近は忙しくてね」となります.ひどい答えは「とにかく荷物が積める車のほうがいいかと思って」というもの.で,「今までこの広大なスペースは役に立ちましたか?」と聞くと「前に一度友達の引っ越しを手伝ったよ」となります.

はい,そういう方々.そんな時はレンタカーを借りて,普段はヴィッツやマーチやフィットやデミオに乗ってください!!環境に優しくて税金安くて,もうガソリン代数円の変動に一喜一憂しなくて済みますから!!私は,「オデッセイのシルエットがすごく綺麗で好きなのよ」とか「スバルの社員にコネがあってね,激安だったのよ」とかそういう答えを期待しているんです...だってそれはちゃんと真の「理由」じゃないですか?曖昧じゃない.考えた結果ですよ.

「収納」という魅惑の世界から日本人は解き放たれなければなりません.住宅業界のみなさん.これ以上日本人の思考を停止させないよう,収納の少ない家をこれからは作ってください.笑 車ももうこれ以上「収納」のこと考えないでください.私は真剣にそう思っています.

   

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「見られる」から「見る」へ

日本の住宅はここ数年,大きくその方向性が変化してきているように感じます.それは,本来日本人には苦手と思われる「主体性」への変化ともとれるような出来事です.

どういうことかというと,これまで,特に戦後の住居というのは,外観が重要な要素でした.外壁や窓の位置,屋根の形や屋根瓦にいたるまで,そういう外観というものを住宅雑誌なんかも前面に押し出して広告をしていたように思います.ところが最近,ここ数年は明らかに住宅の関心は中に向いてきています.そして,「どう見られるか」ではなく「どう見るか」を重視するような雑誌記事が目立つようにってきました.「どう見るか」.それは,例えばキッチンから,リビングから,バスルームから,窓の外にしろインテリアにしろ,どんな風景が見えるのか,ということが大切だという風潮が見られるわけです.これは,けっこうどえらいことですよ.仕掛け人はいったい誰なのでしょう?

「どう見るか」.これを作っていくことは,明らかに住む人が住む人の欲求を満たすためのものであって,極めて知的で主体性のある作業だと思います.そして,大量生産された色や造形がちぐはぐな物を,適当に組合わせていくような作業では決して達成できないものだからです.

日本には「流行(はやり)」というものが諸外国よりも色濃く存在します.普通はそれぞれ個人が自分の考えや価値観を持っているため,そんなに流行りません.しかし日本人はそれがないため「流行る」のです.流行るのには仕掛け人がいます.誰だか分かりませんが...日本の住居に関しても,もっと本当の豊かさが欲しいと思う人はそう滅多にいません.せいぜい収納やリビングの広さを気にするくらいが平均でしょう.よって,「見る家」を作るにも仕掛けるしかないのです.そうやって日本人の住まいに対する価値観が向上するのかもしれないですから,日本文化の中では次々に押し寄せてくる「流行」というのはそういう集団でのレベル向上という役割を果たしうるかもしれません.

さて,住む人主体の家作りが,数年の流行で終わって欲しくないものです.そして近い将来,パリのアパルトマンと知性とセンスの両方で張り合えるくらいのマンションとかでてきてくれたらなぁ,と思います.

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