崖の上のポニョ,見ました.
感想や思ったことなどを残します.
注:今後映画館に行こうと思われている方は読まないでくださいませ.以下には映画の内容に関わることを書いておりますので...
思ったことをまずはダラダラ書きます.
********
映画を見るまでは何とも感じなかったけど,実際映画の中で動くポニョは本当にかわいい.ポニョのしぐさや表情,命が吹き込まれてると思いました.
最初の海中の映像から始まり,オープニング曲とともにデフォルメされた海と陸の絵が流れるシーンまでの流れは圧倒されました.美しい!!「ポーニョポーニョ♪」の歌からはおよそ想像していなかった壮大なオープニングシーンです.
宗介はなかなか立派な少年です.彼はまだ5歳ですが,自分で考え,判断して行動する.ただ,宮崎映画に登場する男の子の特徴である,「優等生ぶり」が今回もずいぶんと際立ちます.もうちょっと欠点なんかあれば人間味が増して深みがでると思うのですが.
宗介の母であるリサも素敵な大人です.宗介をひとりの自立した人間として見ていて,そして深い愛がある.親子が名前で呼び合っているのもいい.宗介は,デイケアセンターのお婆さんたちに対しても苗字じゃなく名前で呼んでいますね.
この作品の中には,どんな些細な悪意さえ登場しないように思います.悪意はこの浮世にはつきものなので,この作品の中は完全なユートピアで,現実世界ではないですね.それを見せているのだと思う.この映画を子供に見て欲しい映画だと言うのなら,なるほどそうかもしれません.でも大人も充分に楽しめました.
この映画はCGを一切使っていないそうですが,そのおかげもあってエンディングロールがとても短いです.例の「ポーニョ,ポーニョ,ポニョ魚の子...♪」の歌が流れてそれで終わり.ものの数分.早くてとても気持ちいいです.最近の映画は,大作ぶりをアピールするかのように,延々とエンディングロールを流す映画が多いですが,あれは少々気持ちが萎えます.まあ仕方ないケースも多いのだろうけど.
********
とまあ,こんな感じなのですが,これはあくまで,この映画を単なるファンタジーとして捉えた場合です.実は,もうちょっと細かく見ていくと,気になることがたくさんありました.いや,そここそが今回とてもひっかかったポイントです.ここからは,いつもどおりごちゃごちゃ書きますが,暇でしたらお付き合いください.汗 ちなみに私は宮崎アニメはけっこう好きです.ただ,だからと言っていつも「いい映画だったなぁ」とはならないんですよね.思ったことは正直に書きます.
まず,宮崎駿氏は,この映画に関して,単なるファンタジーという位置づけではありません.氏はこの映画に対して,
「少年と少女、愛と責任、海と生命、これ等初源に属するものをためらわずに描いて、神経症と不安の時代に立ち向かおうというものである」
と述べられています.このフレーズはこの映画のテーマであると感じます.明らかに現代社会に対して具体的メッセージを伴っており,実際そのように感じます.しかし,私はそのような視点で見たときに,あまりに自分の感覚とはこの映画は異なるなぁと感じました.
少年と少女とは,この映画では,宗介とポニョでしょう.宗介は,知的で落ち着きのある責任感のある少年として描かれていますが,ポニョはどうでしょう.可愛らしく,思慮深くなく,感情的に突っ走る存在として描かれています.このふたりを「少年と少女」として代表させるのは非常に問題を感じます.
この部分は,宮崎氏のこの映画に対する説明にある,
「海に棲むさかなの子ポニョが、人間の宗介と一緒に生きたいと我儘をつらぬき通す物語」
という言葉にも表れています.つまり「わがまま」という言葉.なぜこんな壮大なテーマの中に「わがままをつらぬき通す」が登場するのでしょうか.どのような意味が込められているのでしょう...
それから「愛と責任」.もちろん「愛」も「責任」もこの映画のいろんな場面で出てきますが,肝心な宗介とポニョの間にどんな愛と責任があったんだろうか,と思うと非常に疑問です.一番残念なのは,なぜポニョは宗介を好きになって,なぜ宗介はポニョのことを守ろうと思うようになったのかが,私には推測さえできないということです.この部分を無視しながら,愛も責任も実現するのでしょうか.私の感覚では,これは「愛と責任」じゃなく「ひと目惚れと約束」ですね.責任は果たされているかどうか分かりません.むしろ物語の描く範囲内では無責任だとさえ感じます.私は,ポニョがこの先,人間になったことで幸せな一生を送れたかどうか,不安でなりません.しかし,そこに多くの人は興味を持っていないようで,恐いです.
という具合に,私が心配してしまうのは,常にポニョのことなんですが,別にポニョの可愛さにやられたからじゃあないですよ.笑 これは,ポニョの描き方がそうなっているからだと思います.つまり,ポニョはとても可愛らしく,おちゃめで自由奔放に描かれている一方で,知性とか意志とか責任とかが全く与えられていないんですよ.これじゃあ,私は不安です.そんなポニョを人間にしようと取り決めている周囲の人たちは,ポニョが不幸になったらどう責任を取るんだろうと思いますね.自己責任だとでも言うつもりでしょうか.
ということで,宮崎監督は「不安に立ち向かう」と言われていますが,私はむしろ不安になりました.涙 ただのファンタジーならすごくいい映画だと自信を持って言えますが,社会に対するメッセージ性を絡めるなら,私はこの映画は非常に問題だと感じます.人魚姫が題材ですから,多少は仕方ないのかもしれませんが,もう少し,現代的解釈を付加して欲しかった.

感想や思ったことなどを残します.
注:今後映画館に行こうと思われている方は読まないでくださいませ.以下には映画の内容に関わることを書いておりますので...
思ったことをまずはダラダラ書きます.
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映画を見るまでは何とも感じなかったけど,実際映画の中で動くポニョは本当にかわいい.ポニョのしぐさや表情,命が吹き込まれてると思いました.
最初の海中の映像から始まり,オープニング曲とともにデフォルメされた海と陸の絵が流れるシーンまでの流れは圧倒されました.美しい!!「ポーニョポーニョ♪」の歌からはおよそ想像していなかった壮大なオープニングシーンです.
宗介はなかなか立派な少年です.彼はまだ5歳ですが,自分で考え,判断して行動する.ただ,宮崎映画に登場する男の子の特徴である,「優等生ぶり」が今回もずいぶんと際立ちます.もうちょっと欠点なんかあれば人間味が増して深みがでると思うのですが.
宗介の母であるリサも素敵な大人です.宗介をひとりの自立した人間として見ていて,そして深い愛がある.親子が名前で呼び合っているのもいい.宗介は,デイケアセンターのお婆さんたちに対しても苗字じゃなく名前で呼んでいますね.
この作品の中には,どんな些細な悪意さえ登場しないように思います.悪意はこの浮世にはつきものなので,この作品の中は完全なユートピアで,現実世界ではないですね.それを見せているのだと思う.この映画を子供に見て欲しい映画だと言うのなら,なるほどそうかもしれません.でも大人も充分に楽しめました.
この映画はCGを一切使っていないそうですが,そのおかげもあってエンディングロールがとても短いです.例の「ポーニョ,ポーニョ,ポニョ魚の子...♪」の歌が流れてそれで終わり.ものの数分.早くてとても気持ちいいです.最近の映画は,大作ぶりをアピールするかのように,延々とエンディングロールを流す映画が多いですが,あれは少々気持ちが萎えます.まあ仕方ないケースも多いのだろうけど.
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とまあ,こんな感じなのですが,これはあくまで,この映画を単なるファンタジーとして捉えた場合です.実は,もうちょっと細かく見ていくと,気になることがたくさんありました.いや,そここそが今回とてもひっかかったポイントです.ここからは,いつもどおりごちゃごちゃ書きますが,暇でしたらお付き合いください.汗 ちなみに私は宮崎アニメはけっこう好きです.ただ,だからと言っていつも「いい映画だったなぁ」とはならないんですよね.思ったことは正直に書きます.
まず,宮崎駿氏は,この映画に関して,単なるファンタジーという位置づけではありません.氏はこの映画に対して,
「少年と少女、愛と責任、海と生命、これ等初源に属するものをためらわずに描いて、神経症と不安の時代に立ち向かおうというものである」
と述べられています.このフレーズはこの映画のテーマであると感じます.明らかに現代社会に対して具体的メッセージを伴っており,実際そのように感じます.しかし,私はそのような視点で見たときに,あまりに自分の感覚とはこの映画は異なるなぁと感じました.
少年と少女とは,この映画では,宗介とポニョでしょう.宗介は,知的で落ち着きのある責任感のある少年として描かれていますが,ポニョはどうでしょう.可愛らしく,思慮深くなく,感情的に突っ走る存在として描かれています.このふたりを「少年と少女」として代表させるのは非常に問題を感じます.
この部分は,宮崎氏のこの映画に対する説明にある,
「海に棲むさかなの子ポニョが、人間の宗介と一緒に生きたいと我儘をつらぬき通す物語」
という言葉にも表れています.つまり「わがまま」という言葉.なぜこんな壮大なテーマの中に「わがままをつらぬき通す」が登場するのでしょうか.どのような意味が込められているのでしょう...
それから「愛と責任」.もちろん「愛」も「責任」もこの映画のいろんな場面で出てきますが,肝心な宗介とポニョの間にどんな愛と責任があったんだろうか,と思うと非常に疑問です.一番残念なのは,なぜポニョは宗介を好きになって,なぜ宗介はポニョのことを守ろうと思うようになったのかが,私には推測さえできないということです.この部分を無視しながら,愛も責任も実現するのでしょうか.私の感覚では,これは「愛と責任」じゃなく「ひと目惚れと約束」ですね.責任は果たされているかどうか分かりません.むしろ物語の描く範囲内では無責任だとさえ感じます.私は,ポニョがこの先,人間になったことで幸せな一生を送れたかどうか,不安でなりません.しかし,そこに多くの人は興味を持っていないようで,恐いです.
という具合に,私が心配してしまうのは,常にポニョのことなんですが,別にポニョの可愛さにやられたからじゃあないですよ.笑 これは,ポニョの描き方がそうなっているからだと思います.つまり,ポニョはとても可愛らしく,おちゃめで自由奔放に描かれている一方で,知性とか意志とか責任とかが全く与えられていないんですよ.これじゃあ,私は不安です.そんなポニョを人間にしようと取り決めている周囲の人たちは,ポニョが不幸になったらどう責任を取るんだろうと思いますね.自己責任だとでも言うつもりでしょうか.
ということで,宮崎監督は「不安に立ち向かう」と言われていますが,私はむしろ不安になりました.涙 ただのファンタジーならすごくいい映画だと自信を持って言えますが,社会に対するメッセージ性を絡めるなら,私はこの映画は非常に問題だと感じます.人魚姫が題材ですから,多少は仕方ないのかもしれませんが,もう少し,現代的解釈を付加して欲しかった.







