日本の住宅で「収納」はやはり重要なキーワードです.しかしそもそも日本人にとっての「収納」とは何なのでしょうか.収納は多ければ多いほどいいと思っている方は今も多数だと思いますが,それはなぜそう思うのでしょうか.
もちろん,綺麗に整頓されて全く散らかっていない家というのは気持ちいいものです.しかし,例えば一人暮らしの男子大学生,ワンルーム住まいで,救いようのないほど足の踏み場もない状態の家も同じくらい心地よいものですよ.らくちんで.笑 私がむしろ嫌悪感を感じるのは,ホームセンターなどでとにかく安いカラーラックや棚やそんなものをどこに置くのかもよく考えずに買ってきて,そんでもって,やっぱりそれには収まり切らずに物があふれ出てしまい,本来ものを置く場所でないようなところに物が積み重ねてあったり,関連性のないものがごちゃ混ぜになって,関連性のない場所に押し込められているような家です.そして,紛れもなくそのような家に住む住人が1にも2にも「収納が足りない」「収納は大切」と言っているのです.
ちゃんと整頓されている家と,足の踏み場もない家を私が心地よいと感じるのにはちゃんと共通点があります.それはコンセプトがあるということです.限られた収納スペースでいつも整頓するには,不必要になるものは買わないだとか,少々高くてもコンパクトなものを買うとか,何かし能動的な思考があるわけです.また一方,後者の家は「結果的に」的な側面も否めないかもしれないですが,でもたぶんそこに住む人の欲求は思い通りに達成されているという点では成功しているんですね.例えば「どうせ座る場所は一カ所なんだからそれ以外の場所にすぐ使うものは置いておくんだ」という思考があるんだったら,まさにそのようになっているわけですから,一応コンセプト達成です.
しかし.たくさん収納があるのに整理できない家は,要するに住人は失敗しているわけですよ.片づけたいけど,ちゃんと計画的に考えられないので片づかない.そしてそれを収納がまだ足りないからだと思いこんでいる.これはとてもおかしなことです.なぜ片づかないのか,それを真剣に考えなくてはなりません.愛着もなくしかも絶対に使わない物なのに捨てられなかったり,計画的に買い物ができなかったり,ちゃんとカテゴリーごとに分類して整理しないから毎回押し入れから全部ものを引っ張り出す羽目になったり,などなど.
はっきり言いましょう.収納はおおむね足りています.あとは考えるか考えないかの違いです.職場の机の上の惨状は,おおむねその人の頭の中の状況だ,とは私の知人の言葉です.笑
で,車も同じで,日本の車は収納多すぎですね.小物入れとかも.日本はミニバンやワゴンが多い国ですが,まずあの広大な座席空間や荷台が有効に使われている様子はあまり見かけません.オデッセイを一人で通勤に使っている人多いでしょう?レガシーワゴンはたいていワゴンにそれほど荷物載ってないですね?そんな人に「なぜこの車なの?」と聞くと,「キャンプが好きだからねぇ」とかいう答えが返ってきますが,「キャンプにはよく行くんですか?」と聞くとたいてい「最近は忙しくてね」となります.ひどい答えは「とにかく荷物が積める車のほうがいいかと思って」というもの.で,「今までこの広大なスペースは役に立ちましたか?」と聞くと「前に一度友達の引っ越しを手伝ったよ」となります.
はい,そういう方々.そんな時はレンタカーを借りて,普段はヴィッツやマーチやフィットやデミオに乗ってください!!環境に優しくて税金安くて,もうガソリン代数円の変動に一喜一憂しなくて済みますから!!私は,「オデッセイのシルエットがすごく綺麗で好きなのよ」とか「スバルの社員にコネがあってね,激安だったのよ」とかそういう答えを期待しているんです...だってそれはちゃんと真の「理由」じゃないですか?曖昧じゃない.考えた結果ですよ.
「収納」という魅惑の世界から日本人は解き放たれなければなりません.住宅業界のみなさん.これ以上日本人の思考を停止させないよう,収納の少ない家をこれからは作ってください.笑 車ももうこれ以上「収納」のこと考えないでください.私は真剣にそう思っています.





