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妖怪と科学 :: 2008/08/09(Sat)

「妖しき存在」からの続きです.

突然現れて村人を飲み込んだ巨大な波.それは海坊主という妖怪でもあり,三角波という物理現象とも言えるのですが,どちらが正解なのか,などと問うことはできないでしょう.事実はただひとつ.「突然現れた水の塊に飲み込まれて村人が溺れた」という悲しい事実だけであり,妖怪も科学も,この信じがたい事実と向き合う際に,人がその理由を求めた結果生まれたんじゃないかと思うのです.

人は普段から何に対しても理由を求めはしません.思想家や哲学家や好奇心旺盛な人を除けば,当たり前だと思ったことに対しては,人はある程度受け入れられます.人が無性に理由を求める時,それは,当たり前でないことが起きたときです.これは,おそらく人が過去を記憶し,それを単純化する癖を持っているからだろうと私は思っています.つまり,波の無い海では,平穏な時が流れ,危険は無い,という単純化された状況を人は受け入れます.そして,この単純化された予想が,裏切られ,大波がやってくれば,人は呆然としてしまうわけです.

当然だと記憶していた状況が全く役に立たなかった時,人はその記憶を変更し,納得しなくては不安を払拭できません.立ち直れません.そのために「理由」を求めるんだろうと思います.

そう,科学だって実は「なぜだろう」という素朴な疑問からスタートします.ただ科学の面白いところは,当たり前だと思っていることに積極的に「なぜ?」と問い,解決しようとすることです.毎日青空を見ているにも関わらず「なぜ空は青いの?」という疑問を持ち,青い波長の光を大気の成分が散乱することを体系的に理解しておくのです.そうすることで,予想外の出来事に対処できます.例えば,いきなり目覚めたら空の色が変わってしまっていても,上空でどんな化学変化が起こったのか,何かの汚染物質のせいかもしれない,などと原因を見破ることができるので,パニックにならなくてすみます.まあ,これが科学の力だと思います.

じゃあ,やっぱり科学は磐石じゃないか,とそう思われるでしょうか.海坊主より三角波のほうが真相だろう,と.ところがです.科学はそんなに強固なものではありません.

科学の弱点を探すのは容易です.試しに何かに対して「なぜ」を数回続けて質問し続けてみます.そうすると,あっけなく科学は無力になるんです.「なぜ空は青いの?」「大気が青い波長の光だけを散乱させるので,青く見えるんだよ.」「なんで青い光だけ散乱させるの?」「ええ!??そ,そ,それは...そういうふうになってるんだよぉ.そういう性質なんだよぉ...別に理由なんてないよ...汗」となってしまいます.

例えばこういう問答.好奇心溢れる子供と対話すれば,必ずやってしまいます.その度に,困るはめになるのはたいてい大人です.学校の理科の授業は大変だと思いますよ.物質は原子という粒でできています.生物の情報はDNAという物質に記憶されています,なんて教えられますが,この先の「なぜ」はご法度です.何でもそうです.

科学なんて,所詮それ程度の薄っぺらいものです.少なくとも「疑問に答える」という視点で考えれば,ですけど...これは,「まだ研究が進んでないから,解明されていないから」ではなく,「それは科学では取り扱えない質問ですので,答えは永遠に出ません.」なのです.科学は疑問の持ち方にも制約があるんです.

話しを戻します.穏やかな海に突然やってきた大波.これは三角波だったとしましょう.三角波の生成は論理的に説明できるし,数式でも記述できるし,実験室で再現することもできます.穏やかな日に突然やってくることも不可解なことではありません.しかし.「なぜこの時間にこの場所にやってきて,そのおかげで村人は溺れなければいけなかったのか」.そう,この疑問には決して答えないんですよ,科学は.一方,海坊主はその部分を巧いことカバーしています.つまり,このような不条理を引き起こす得体の知れない存在,だと人々は予め受け入れているので,疑問が生じないんです.この事件が,そのまま海坊主の仕業,海坊主そのものであり,近似ではなく,等価(イコール)なんですね.妖怪とはそういう「姿」をしているんです.

「科学=虚構,非科学=現実」に続きます.

 

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テーマ:宗教・信仰 - ジャンル:学問・文化・芸術

  1. 自然・科学・思想
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comment

はじめまして。

面白いですね。
考えさせられました。
  1. 2008/08/12(Tue) 05:34:37 |
  2. URL |
  3. ろぼ #-
  4. [ 編集 ]

ろぼ さま.
はじめまして.

どうも巷では妖怪の現代版解釈が勝手に一人歩きをしているような気がして...思うところを書いてみた次第です.

駄文にお付き合いいただき,ありがとうございます.
  1. 2008/08/12(Tue) 23:40:24 |
  2. URL |
  3. えりざべす #m5Dxg7h6
  4. [ 編集 ]

こんにちは♪

>何かに対して「なぜ」を数回続けて質問し続けてみます.そうすると,あっけなく科学は無力になるんです<
このこと、興味深いです。
いつか、起業塾で、考えを互いに問い詰めていって、何が残るかというワークショップをしたことを思い出しました。それは科学ではなかったので、行き着くところがあって決着しました(^^)
科学というものは、もっともっと問い詰めていかなければいけないんだな、途中でストップしているんだな、と感じました。人の脳や心や精神についても、まだまだ知られざる事の方が多いのに、わかったような事を言っている論文が多く、がっかりします。専門を究めている論文に出会いたいと熱望しています。あ、ちょっとはずれているかも(汗
  1. 2008/08/13(Wed) 10:27:18 |
  2. URL |
  3. rain #iz.eytdM
  4. [ 編集 ]

rainさん!

科学は,客観性が生命線ですからね.何度も何度も繰り返して実験して,同じ結果が出なくてはいけないわけです.そうじゃないと,それが間違いない現象として受け入れることはできません.

人の心,精神について「科学」するとき,そこが一番難しいんじゃないかと感じます.非常に複雑なので,単純化して,繰り返し確かめることができない.だから,科学として成り立ちようのない領域なんだと思います.科学は,奥は深くて美しくて,それはそれですごく面白いけど,でも決して磐石なものではないんだよな,と思います.

日本は科学至上主義になりすぎていると最近思って,そういう意味合いも記事に込めてみていますが....実際,どうなのかなぁ.
  1. 2008/08/14(Thu) 00:41:21 |
  2. URL |
  3. えりざべす #m5Dxg7h6
  4. [ 編集 ]

はじめまして。
昔の記事に突然失礼します。グーグル検索からきました。
記事とてもおもしろいです。

ある現象を理解しようとするとき、妖怪だとかそういった類のもので説明する方が、場合によっては科学よりも真相に迫ったものになり得るのでは、ってことを最近考えていました。
念のため書いておくと、自分ももちろん、科学を軽視しているわけではありません。
ただ、基本的に科学は現象を細分化して解き明かしていくもの(間違ってたらすいません)ですから、複雑怪奇な現象を包括的に理解しようとするとなかなか手こずると思います。
そういう場合は科学から離れた解釈で現象について考えてみる。そうすると案外、その現象の正体に近い何かに辿り着くことができるかもしれません。
  1. 2015/02/21(Sat) 16:54:50 |
  2. URL |
  3. 勘助 #O6Sy3vFQ
  4. [ 編集 ]

Re: タイトルなし

勘助 さま

こちらこそ、古い記事にコメントいただきありがとうございます。
励みになります。

私も科学を生業にしておりますので、その大切さや面白さは日々感じています。
でも、現代は科学中心の考え方に傾倒しすぎじゃないかとも思ってしまいますね。



> はじめまして。
> 昔の記事に突然失礼します。グーグル検索からきました。
> 記事とてもおもしろいです。
>
> ある現象を理解しようとするとき、妖怪だとかそういった類のもので説明する方が、場合によっては科学よりも真相に迫ったものになり得るのでは、ってことを最近考えていました。
> 念のため書いておくと、自分ももちろん、科学を軽視しているわけではありません。
> ただ、基本的に科学は現象を細分化して解き明かしていくもの(間違ってたらすいません)ですから、複雑怪奇な現象を包括的に理解しようとするとなかなか手こずると思います。
> そういう場合は科学から離れた解釈で現象について考えてみる。そうすると案外、その現象の正体に近い何かに辿り着くことができるかもしれません。
  1. 2015/02/21(Sat) 20:38:06 |
  2. URL |
  3. えりざべす(Y.Yasutake) #m5Dxg7h6
  4. [ 編集 ]

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