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トヨタは驕ったのか,それとも犠牲者なのか :: 2010/02/06(Sat)

暗雲が立ち込めている.雷鳴が聞こえ,大粒の雨が落ち始めた.高性能を誇るトヨタの雨雲レーダに,この巨大に発達した積乱雲の影が映ったのはいつのことだっただろうか.

リーマンショックの後,米国ビッグスリーの凋落を横目に,世界最大の自動車会社に上り詰めたトヨタ.それが今や「トヨタは本質から目をそらし,隠蔽工作をしていたのではないか?」というニュアンスさえある散々な論評が目立つ.これはまずいことになった,というトヨタの声が聞こえてきそうである.

ニューヨークタイムズには,「Toyota’s Slow Awakening to a Deadly Problem」というタイトルで異例の長文記事が掲載されている.

http://www.nytimes.com/2010/02/01/business/01toyota.html?pagewanted=1

At almost every step that led to its current predicament, Toyota underestimated the severity of the sudden-acceleration problem affecting its most popular cars. It went from discounting early reports of problems to overconfidently announcing diagnoses and insufficient fixes.

ここがこの記事の要旨に近いと思うが,極めて手厳しい.トヨタは高品質で優れた自動車を生産する世界で最も高い評価を得ている自動車会社と言っても過言ではなかった.今もトヨタのファンは世界中にいるはずだ.こんな状況になっても,トヨタを愛している人はたくさんいると思う.だからこそ,このような非常に手厳しい記事が出てくるのとも言える.影響力のあるメーカーだから,逆にしっかりと書かなければいけない理由となる.これは別に大成功をおさめた日本企業への妬みでもいじめでもない,と思いたい.

改めて確認しなくてはいけない.これは,パワーウィンドウの欠陥ではないし,エンジンを構成するセンサー不具合で走行中にエンジンが停止する恐れがある,というものでもない.車が勝手に加速し,またブレーキが効かなくなる,というのだ.これは改めて考えるまでもなく,自動車にとって非常に由々しき問題だ.この問題がもし本当に生じたなら,その車はもはや車ではなく殺人マシーンである.恐怖以外の何者でもない.

2002年時点で,既に問題の報告は始まっていたとされる.2007年には,米国政府とトヨタ自身は,トヨタ車の中に意図しない急加速およびブレーキが効かなくなるという問題が存在することを把握していたらしい.オハイオ州における調査では,レクサスES350所有者の実に3%が意図しない急加速を経験したと報告されている.しかしこれらの問題は重要視されなかった.問題の根本解決は先送りされたらしいのだ.それが今になってこの事態へと発展し,死者も出てしまった.このように手厳しい論評をされても弁解できない状況になってしまったのである.


とは言え,この問題に関して,僕はどこかすっきりせず霧がかかってもいる.もちろん僕はトヨタ内の人間でもないし,急加速を経験した人間でもないから,本当のところよく分からないだが,ただあのしたたかなトヨタである.問題の芽はさっさと摘みそうなものであるから,どうも本当にこの問題の原因を解明できていないのかもしれない,などと思ってしまう.つまり先送りじゃなくて,本当に「なぜなんだろう??原因が特定できない.おかしい...」と思い続けている可能性もあるんじゃなかろうか.そしてフロアマットくらいしか考えられない,という結論に達したのかもしれない.もしそうだとすれば,トヨタとしては真摯に取り組んでいたにも関わらずの避けることができなかった災難ということになる.

さらにである.ここにきてプリウスのブレーキに関してのパッシングが始まった.ちょっとタイミングが良すぎはしないだろうか,と思うのだ.プリウスのブレーキは普通の自動車のブレーキシステムとは成り立ちが違う.だから違和感はあるだろう.現状,トヨタはプリウスのABSシステムに不具合ありとして,無償修理を行うそうだが,本当にABSに欠陥があるのだろうか.どうも釈然としない.

国内ではトヨタ社長が異例の会見を行った.

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100206-00000048-jij-biz

しかし,プリウスをはじめ相次ぐ不具合の指摘に関して,その原因について全く触れなかった.とにかく全力でお客様第一主義で取り組む,と言うにとどまった.

カナダのフィナンシャルポスト誌が,この僕の釈然としないもやもやを実にダイレクトに書いてくれているのでちょっと引用しよう.

http://network.nationalpost.com/np/blogs/fullcomment/archive

There can be little doubt that Toyota, the world’s greatest automaker in recent years, has become the victim of much more than another typical out-of-control All-American media frenzy.

前半を読むと分かるが.トヨタのリコール問題はアメリカの国益にかなうものだから,一斉にパッシングをはじめたと書かれている.トヨタは犠牲者であることは疑う余地が無い,これはほとんど集団リンチだ,と言う勢いだ.特に後半の,

Was Toyota panicked into doing something ― anything ― when faced with a looming full-bore economic attack from the United States Economic Marines, with the media imbedded as part of the crusade?

という部分は,確かにそういう状況なのかもしれないと思う.自動車の不具合に加えて,トヨタが本当に戸惑っているのは,米国経済界から次々に押し寄せる大波,こちらのほうかもしれない.どうして状況を収拾しようか,と困惑しているのだ...


ふたつの面からこの問題を考えてみた.トヨタは驕り失敗を犯したのか,それとも米国経済界からの暴風に曝され犠牲者となりつつあるのか...僕は,どちらが本当でどちらが嘘ということではないと思っている.本当に重大な問題は起きたのだ.そしてその問題を利用して国益を操作する圧力も同時に生まれた.本当に困った状況に違いない.

とは言え,僕は車好きの一人としてこの問題はやはり著しく深刻だと受け止めたい.車が暴走し,死者も出ている.今のトヨタなら体力がある.この問題に関して,最適な言い回しは何かとか最小限の損失で抑えるにはどういう手段が最適かなどということを最重要項目とするのではなく,やはり何はともあれ徹底的に解明して欲しいものである.そして言うべきことははっきりと言ってもらいたい.もしどんなに詳細に調査しても原因が特定できないのなら,「私たちは最高の技術と知識を駆使してあらゆる面から調査したが,自社製品に欠陥を見出すことはできなかった」と濁さずに言ってもらいたい.もし本当にそうなら,事態は徐々に静まっていくのではないだろうか.

****



最後にちょっとこの問題のテクニカルな範囲に関して個人的感想をつぶやく.

本当にレクサスは暴走するんだろうか??...そして原因はフロアマットなの?? ちょっと考えにくいんだけどなぁ.レクサスのアクセルはもちろん電子制御だから,アクセルを踏まずに急加速する原因はコンピュータをはじめとする電子デバイス系ということになる.ソフトウェアそのものか,ドライブバイワイヤシステムの不具合ということになるのか?いや,さすがにそれはちょっと考えられない.とすると,やっぱりフロアマットという原因の方が妥当かも,という気もしてくる...うーん,素人の自分が考えても始まらないのだが,それにしてもこの問題,不可解極まりない...というのが僕の感想だ.

2010/02/08追記:
コメント欄で指摘を受け追記します.アクセルペダルが戻らないという問題に関して,その原因のひとつは概ね突き止められているらしいということが分かりました.アクセルペダルモジュールの構造のうち,フリクション発生装置が湿度で膨張し,過度の摩擦を生んでアクセルが戻らなくなる,という現象が確認されているようです.私の頭の中の情報が少々古かったようです.ここに追記します.ただ,カリフォルニアで起きたあの悲惨な暴走事故に関してもこれが原因だと特定されたかどうかは不明です.また電子制御装置(コンピュータ)に問題ありという指摘が出ているように,一連の問題がこのアクセルペダルの物理的要因だけですべて説明できるわけでもないようで,いまだにすっきりとしません.

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テーマ:トヨタ(TOYOTA) - ジャンル:車・バイク

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今頃、社長が会見?
こんな不誠実な会社だったとは!
儲かりすぎて顧客をバカにしているのか?
もう、二度とトヨタの車なんか買わないぞ
我々も悪いのだね、一人勝ちにさせたのは
それにTOYOTAのHP見ました?
未だに社長のチョロットしたお詫びと大した事のない対策がどこに書いてあるのか判らないようには書いている さすがお大尽さまのやること!
まったく、さすがはTOYOTAの精神構造だ
  1. 2010/02/06(Sat) 22:42:37 |
  2. URL |
  3. とおりすがり #GsrTMsEM
  4. [ 編集 ]

Re: タイトルなし

とおりすがりさま,落ち着かれてください.

僕はトヨタが不誠実な会社だとは思っていませんよ.会見はあまり効果的でなかったし中身が無かったように思いますが...これは上層部の戦略ミスであって,誠実か不誠実かというのはそれとは別です.僕は,現場でどれほど真剣に今回の不具合の問題に取り組んでいるか,ということこそが会社の質を決めると思います.それは外部の私たちには見えませんが,トヨタはそこを適当に誤魔化すような企業ではないだろうと思っています.

とおりすがりさまがトヨタがお嫌いで,もう二度と買わないと思うのはもちろん尊重されることですが,だかと言って,トヨタを絶対悪のように言うのはどうかと思います.今でも熱帯や砂漠や高地に行けば,30万キロ以上走ったランドクルーザーがたくさん活躍しています.それもほとんど故障なんてしないのですよ.プリウスの燃費と勝負できるような大衆車は世界中探してもいまだありません.これはトヨタの技術者・開発者たちの血と汗の結晶であり,真に価値があると見込まれた商品に付帯した信頼はそうやすやすとは崩壊しないと僕は思います.
  1. 2010/02/07(Sun) 09:52:57 |
  2. URL |
  3. えりざべす #m5Dxg7h6
  4. [ 編集 ]

週末のフジの番組にてトヨタ車で実験してましたね。んで確かにドライバーさんは抜けるような感じに気付き、メーターも減速→瞬間的に加速→減速という流れとなってました。ちなみに自分は知らなかったのですが、WSJの記事によると昨年8月に欧州でトヨタ車のアクセルペダルが戻りづらいという問題にたいして、対応策を実施していたようですね。そのペダルが今回北米で問題になったペダルと同一だとトヨタ側も認めたとのことで、なぜ米国市場で迅速に対応しなかったのかと書かれておりました。
  1. 2010/02/08(Mon) 22:36:17 |
  2. URL |
  3. A #-
  4. [ 編集 ]

Re: タイトルなし

Aさま,コメントとご指摘,ありがとうございます.

私も今ニュースやネットから改めて情報収集を行いました.ご指摘どおり,どうやらこの問題は概ね原因が突き止められてきていることを理解しました.アクセルペダルモジュールの構造のうち,フリクション発生装置が湿度で膨張し,過度の摩擦を生んでアクセルが戻らなくなるようですね.ちょっと,私の中の情報が古く,リサーチが足りなかったようです.申し訳ありません.本文にもその旨,追記いたします.

しかしトヨタはこの件,本当に隠蔽しようとしていたんでしょうかねぇ...そもそもこういう事態に遭遇した際にしっかり考えて適切な対応を迅速にとる,という基本の心構えがあまりに希薄だったのか...
  1. 2010/02/08(Mon) 23:24:01 |
  2. URL |
  3. えりざべす #m5Dxg7h6
  4. [ 編集 ]

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