機能を極めて重要視する傾向は,日本の工業製品を考える上で非常に重大な問題だと思います.日本人は本当に「機能」が好きですね.家電のパンフレットを見ても,たくさんの機能が列挙され,どんなに便利か高性能かを消費者に訴えています.炊飯器なら,「AI炊飯」「8段圧力」「無洗米コース」「お知らせメロディ」などの機能フレーズがところ狭しとパンフレットに並んでいます.で,調べてみると本当に欲しい機能はなかったりします.笑
さて,国産自動車の場合も,機能的であることに抜かりはありません.車内の小物入れの多さや,室内の広さ,何人乗れるか,シートはどれくらい倒れるのかなど,一般車においてはかなり「機能」が重要視されています.エクステリアはどうでしょう.本当は,車のエクステリアには機能にとらわれることなく,純粋にデザインが存在してもいいと思うのですが,ここにも妙な考えが存在します.それは「機能美」です.具体的に言うと,空力のいいボディは,そういう能力を秘めた必然的美しさがある,高速走行時に強いダウンフォースを生じさせるリアウィングは,そういう性能に基づく美しさがある,と思っているわけです.この概念自体には私は賛同できます.確かに空力性能のいいボディはそういう性能を身につけた美しさがあるし,スポーツカーのリアウィングを見て,醜いなどとは思いません.ただ,問題は,
「車はそれだけの要素ではない」※
ということです.「美しい」とか「かっこいい」と単純に感じる感性は,局所ではなく全体から受けるものです.ですから結局,これら機能美に溺れた車は「物理的な性質」が優先されているにすぎないのです.日産GT-Rやトヨタプリウスが,お世辞にも「美しい」,「かっこいい」と思えないのは,この機能美崇拝主義のせいだと思います.
都内某所で,シトロエンC4に出会いました.C4はすでに日本で販売されて時間が経っているので時より見かける車です.すでにどんな車なのか知った上でのことなのですが,それでも思わず息を呑む雰囲気を持っています.素晴らしく美しい.これまでは特徴的なフロントマスクやリアビューに目が行きがちだったのですが,今回の発見は,サイドビューの美しさ.思わず見とれてしまいます.

公式サイトはこちら.ただ写真や解説からはあの美しさはそれほど伝わってきません...
http://www.citroen.co.jp/products/c4/index.html
シトロエンは「独創性」を最重要視していると断言していますが,その独創性は,独創性を目指した結果ではない,とも言っています.つまりどういうことかというと,走行性能,安全性能,快適性能,実用性能,環境性能,そしてスタイル,これら多くの要素を磨きぬけば,結果的に独創的な車ができあがる,というのです.意外に平凡な結論だとお思いの方もおられるでしょう.いや,これでは独創的とは言えないよ,と思われますか? 私は,シトロエンが明言していない裏の意味を感じます.それは,これらすべての要素を同時に磨きぬくには,大きな矛盾を伴う,だからこれらをすべて協調的に磨き上げるには,独創的な発想が必要なのだと.走行性能と環境性能が相反することは分かり易いですね.安全性能を磨くと車は重くなりますから,環境性能や走行性能にはやはり不利です.そして何はともあれ,スタイルはすべての要素に対して大きな問題を提起するでしょう.空気抵抗,人間工学に基づく乗降のし易さ,タイヤのサイズなど,ありとあらゆる要素に対してデザインは干渉しうるのです.これらをバランスよくまとめ上げ,大きな妥協によって要素を捨て去るようなことをしない高い志がシトロエンの技術者やデザイナーにはあるのでしょう.こうして生み出された車たちは,もはや冷たい工業製品ではなく,温かな有機体のように私には感じられます.この安心感は絶大です.
※車の要素はそれだけではない,とほぼ等価の意味です.
関連記事:シトロエンC6
:プジョー206のトラクション性能

さて,国産自動車の場合も,機能的であることに抜かりはありません.車内の小物入れの多さや,室内の広さ,何人乗れるか,シートはどれくらい倒れるのかなど,一般車においてはかなり「機能」が重要視されています.エクステリアはどうでしょう.本当は,車のエクステリアには機能にとらわれることなく,純粋にデザインが存在してもいいと思うのですが,ここにも妙な考えが存在します.それは「機能美」です.具体的に言うと,空力のいいボディは,そういう能力を秘めた必然的美しさがある,高速走行時に強いダウンフォースを生じさせるリアウィングは,そういう性能に基づく美しさがある,と思っているわけです.この概念自体には私は賛同できます.確かに空力性能のいいボディはそういう性能を身につけた美しさがあるし,スポーツカーのリアウィングを見て,醜いなどとは思いません.ただ,問題は,
「車はそれだけの要素ではない」※
ということです.「美しい」とか「かっこいい」と単純に感じる感性は,局所ではなく全体から受けるものです.ですから結局,これら機能美に溺れた車は「物理的な性質」が優先されているにすぎないのです.日産GT-Rやトヨタプリウスが,お世辞にも「美しい」,「かっこいい」と思えないのは,この機能美崇拝主義のせいだと思います.
都内某所で,シトロエンC4に出会いました.C4はすでに日本で販売されて時間が経っているので時より見かける車です.すでにどんな車なのか知った上でのことなのですが,それでも思わず息を呑む雰囲気を持っています.素晴らしく美しい.これまでは特徴的なフロントマスクやリアビューに目が行きがちだったのですが,今回の発見は,サイドビューの美しさ.思わず見とれてしまいます.

公式サイトはこちら.ただ写真や解説からはあの美しさはそれほど伝わってきません...
http://www.citroen.co.jp/products/c4/index.html
シトロエンは「独創性」を最重要視していると断言していますが,その独創性は,独創性を目指した結果ではない,とも言っています.つまりどういうことかというと,走行性能,安全性能,快適性能,実用性能,環境性能,そしてスタイル,これら多くの要素を磨きぬけば,結果的に独創的な車ができあがる,というのです.意外に平凡な結論だとお思いの方もおられるでしょう.いや,これでは独創的とは言えないよ,と思われますか? 私は,シトロエンが明言していない裏の意味を感じます.それは,これらすべての要素を同時に磨きぬくには,大きな矛盾を伴う,だからこれらをすべて協調的に磨き上げるには,独創的な発想が必要なのだと.走行性能と環境性能が相反することは分かり易いですね.安全性能を磨くと車は重くなりますから,環境性能や走行性能にはやはり不利です.そして何はともあれ,スタイルはすべての要素に対して大きな問題を提起するでしょう.空気抵抗,人間工学に基づく乗降のし易さ,タイヤのサイズなど,ありとあらゆる要素に対してデザインは干渉しうるのです.これらをバランスよくまとめ上げ,大きな妥協によって要素を捨て去るようなことをしない高い志がシトロエンの技術者やデザイナーにはあるのでしょう.こうして生み出された車たちは,もはや冷たい工業製品ではなく,温かな有機体のように私には感じられます.この安心感は絶大です.
※車の要素はそれだけではない,とほぼ等価の意味です.
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